歯周病とはどのような病気ですか?
歯の周りに付着した歯垢や歯石には、無数の歯周病菌が繁殖しています。これらの菌が出す毒や酵素が歯の周りの歯茎を傷めつけることにより、冷たい物がしみたり、歯茎の腫れや出血といった症状を引き起こすのが歯周病という病気です。歯周病の恐ろしさは、痛みや目立った外見上の変化がないまま、歯茎の奥深くで数年から数十年かけて徐々に進行する病気であるということです。また、腫れや痛み、歯の動揺などの自覚症状が出てきた時には、すでに歯を支えている骨がほとんど浸食されてしまっているという事態もあり得るのです。このように、骨が解けてなくなるという点が歯周病の最大かつ厄介な特徴といえます。
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歯垢とはどのようなものですか?
歯垢は別名プラークとも称しますが、食べかすやゴミのことではありません。実体は、口腔内にたくさん棲息している細菌の巣なのです。細菌が食べ物や飲み物に含まれる砂糖を原料として利用することにより、ムチンなどの粘着質で水に溶けにくい多糖体という巣を作り、その中で繁殖して歯垢を作ります。
このように粘り付く性質があるため、歯垢を取らずに放置しておくと通常の歯磨きでは取り除くのが困難になってしまいます。毎日歯磨きをしていても歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢は磨き残すことが多く、自分では取り切れないのが実情です。近年専門家の間では、このように硬くこびりつく性質を持つ歯垢をバイオフィルムと呼ぶことが多くなりました。バイオフィルムは歯科医院を受診し、専用の機械で取り除くことが必要です。この方法をPMTCといいます。
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歯石はなぜつくのか?
歯磨きには人それぞれに磨き癖があり、毎日歯を磨いていてもどうしても磨き残しが生じてしまいます。それは歯と歯の間や歯と歯茎の間にわずかな隙間があり、その分磨きにくいからです。また、磨き残す箇所は毎回決まっていますから、取り残された歯垢は時間の経過とともに唾液中のカルシウムなどの無機塩類が沈着して石のように硬くなり、これが歯石となります。そして歯石には空胞や凹凸が無数にあり、歯周病菌の棲家として最適なのです。
このようにして生じた歯石が下の前歯の裏側にこびりついている様子は、よく見受けられるものです。また、目立つ部分だけでなく、歯周ポケット(歯と歯茎の間にできた深い溝)の中の目に見えない深い部分の歯根の表面にまで、ビッシリと付着していることもあります。
歯周病の進行を防ぐには?
一度付着した歯石は、専門家によるスケーリング・ルートプレーニング(SRP)という処置を受けない限り、完全に取り除くことは不可能です。また、歯石の沈着を予防するには歯科を受診して磨き残しのないブラッシングのテクニックを修得することが重要であり、定期的に口腔衛生のチェックを受けることにより、歯石のない良好な状態を維持することが可能となります。
従って、歯周病が進行し歯がなくなるという事態を食い止めるためには、歯垢と歯石の付着状況と歯周組織の状態について検査を受け、必要があれば治療を受けた上、定期的に口腔内の管理を継続する方法が非常に有効であるといえます。
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