子供時代の歯医者像とは5
他に、歯医者は頭だけでなく手も使う仕事だという点に惹かれました。誰でも子供のころから全身を使った遊びや自分の手で作る工作物、また楽器の演奏などに親しみながら成長していくものですが、やがて中学、高校と進むにつれて紙の上での作業が増えていきます。それが会社の仕事ともなると、手作業やものづくりといった要素は一層少なくなってしまうのではないか、実情とは少しギャップがあるかもしれませんが、高校生の私にはそう思えたのです。
一方、歯科医は頭と手をバランスよく使える、ある意味で健全な職業であると思えました。この点に関しては当時の予想がはずれ、実際には手先を使う作業の占める割合は意外と低く、逆に知識と経験に基づいた診断や説明、治療、観察、分析、考察などの頭脳労働が高い比重を占めています。おそらく長期にわたる訓練と経験によって、ほとんど意識することなく手が動くようになったことから、駆け出しの頃とは比重が変わったのでしょう。しかし、手作業の占める割合がどうであれ、たとえば会社員や教師よりは手を使う仕事だと思います。こうして職人の世界に惹かれるような感覚で歯医者の仕事に憧れを抱いた私は、歯学部合格を成就させるべく、来る日も来る日も大学受験の問題集と格闘して過ごすことになりました。
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