天職を追い求めて大学へ1
ここで学部選択の話に戻すと、歯学部はそれまで全く意識することがなかったマイナーな存在で、その点にも面白味を感じました。歯科医師を養成する学部であると同時に、大学ですから当然研究もしているはずです。歯の研究とは一体どんなものなのか、高校で習う生物とはかなり趣が異なっていそうで、単純に興味をおぼえました。
しかし大学院に進んでみると、歯学部の研究の多くは医学部や理学部、薬学部と共通した内容で、対象が歯や口腔細菌、口腔組織である点が違うだけです。それどころか、実験方法、研究の方法や対象にいたるまで全く同じで、単に競争しながら研究しているだけという場合さえあります。事実、私が大学院で研究したテーマは歯や口とは特に関係がなく、マウス(ハツカネズミ)の足に繊維肉腫という悪性腫瘍を発生させ、そこに放射線治療を施して免疫能がどのように変化するかを調べるというものです。本来であれば、口の中に扁平上皮ガンという口腔ガンを発生させる方法が適当なのですが、技術的な難易度の違いから足にガンを発生させたのです。当然のことながら、このような研究は歯学部特有の分野ではないため、他学部の研究を参考にする場合もあり、時には競争関係にもなります。
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