口臭はいくつかの種類に分類されます。まず、起床時や強く緊張した時、空腹時などに生じる「生理的口臭」は正常なもので、主に舌やのどの粘膜から発生します。また、女性ホルモンの変動によって起こる婦人性の口臭や、加齢につれて生じる老人性の口臭も、この生理的口臭に含まれます。
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次に、「病的口臭」は歯周病や口腔ガンなどお口の中の病気、また食道や気管、肺、鼻やのどの病気や尿毒症、肝硬変などが主な原因となります。その他、肥満や疲労、便秘や消化不良、腸内ガスの発生、肩や筋肉の凝り、低血糖症、胃潰瘍、アレルギー、腸炎、胃炎、ゲップ、精神不安定なども口臭の原因になる可能性があります。
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ある種の医薬品や夜食の習慣は、体臭や口臭の原因となります。また、カレーやアルコールなどはニオイが残りやすく、コーヒーやタバコは食後の口臭を消すよりもむしろ、新たなニオイの元となるため注意が必要です。
食後の対策としては、フードミキサーで紛糾した緑茶をひとつまみ舌の上に乗せてしばらく転がしておく方法があり、2~3時間は口臭を抑えることができます。また、梅干やレモンスライスはクエン酸の強い酸性反応によって口腔内に残る食べかすが腐敗発酵するのを抑え、口臭を予防してくれます。
その他、意外な盲点となるのが舌のケアです。食べかすの90%が舌に残るため、口臭予防を考える場合は歯よりもむしろ、舌の方が重要なのです。舌はゴシゴシ磨いたりせず、食後に水を少量お口に含んで舌の表面を天井に数回こすりつけ、水を吐き出します。また、唾液の分泌も口臭予防に欠かせないため、常に水分補給を心がけサラサラとした唾液を保ちましょう。
他人は感知できない、自分だけが感じる口臭を「自臭症」といいます。本人は自分の口のニオイが気になって思いつめてしまい、常にニオイの不安に取り付かれているのですが、家族や友人、医療従事者でさえもそれを理解してくれない場合があるのです。自臭症は、通常口臭恐怖症として取り扱われ、症状が進むと口臭ノイローゼや対人恐怖症へと悪化する可能性があるため、原因療法と精神療法が必要となります。
また、口臭を気にするあまり必要以上に歯を磨いて歯茎を傷つけたり、常に緊張した心理状態からお口の中が乾き、ますます悩みを深めてしまいがちです。従って、できるだけリラックスを心がけ、正しいケアの方法と知識を身につけることが肝心です。ぜひ、専門の口臭外来を受診して悩みを克服しましょう。
まず、乳幼児の口臭について説明します。最近の育児では、3歳までに重要な舌や口輪筋の機能を鍛えることをしなくなりました。その結果、鼻呼吸に重要な役割を果たす口輪筋の発達が未熟となり、口呼吸の習慣がつくと考えられます。口呼吸は、口腔内を乾燥させ自浄性が低下するため耳鼻科系器官の発達も未熟になりがちで、将来的には慢性的なアレルギー疾患、喘息やアトピーを誘発する可能性もあるため、口呼吸習慣の是正は重要課題といえます。また、舌の機能低下の傾向もあるため、笛やハーモニカなどのお口を使った遊びを積極的に取り入れるとよいでしょう。
次に子供の口臭ですが、話をしていないとき、つまりお口を閉じているときに口臭がある場合は耳鼻科や呼吸器科の疾患の疑いがあるため、まず小児科の受診をお勧めします。ただし、口呼吸をしている場合は虫歯や歯垢による単純性歯肉炎、また細菌学的な衛生不良が原因と思われます。手順としては小児科と小児歯科の両方を受診し、その上でだらだらとおやつを食べる習慣や口呼吸をやめさせ、お口の中を常に清潔に保つように心がけましょう。
加齢臭は中高年特有の体臭で、年を重ねれば誰にも起こりうるものです。加齢臭の原因となる物質はノネナールといい、予防のポイントは活性酸素を抑えること、つまり抗酸化作用を持つ食品をたくさん摂ることです。
抗酸化食品には「ま」豆類、「ご」ごま、「は」わかめ、「や」野菜、「さ」魚(小魚)、「し」しいたけ(きのこ類)、「い」いも類などがあります。わかりやすく「まごはやさしい」と覚えましょう。また、これらの食品は和食に適したものばかりなので、日本の伝統的な“一汁三菜”をベースに献立して、バランスのとれた食生活を心がけるとよいでしょう。
口臭予防やケアを行う前に、まずはご自身の状態についてチェックしてみましょう。
- お口の中はいつもサラサラしている
- 虫歯はすぐに治療する
- 歯科医院で定期的に歯石を除去している
- 食後は舌の上に残った食べかすを洗い流す
- 常に水かお茶で水分補給している
- 食事は和食党でよく噛んで食べる
- あまり感情的にならずストレスを適度に発散している
YESの数が多い人ほど、口臭IQが高いといえます。これらの習慣を一度身につけてしまえば、口臭予防は難しいことではありません。むしろ、ケアしなければお口の中が不快に感じるようになるはずです。専門の口臭外来では口臭値を正しく測定することができるため、気になる方はぜひ一度検査を受けましょう。また、効果の高い口臭コントロールグッズを上手に使い、積極的な口臭ケアを行いましょう。
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