大嶋先生のアメリカでの研究生活
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Study life in the United States
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大嶋 淳
2016年4月から2018年3月 まで、米国ケンタッキー州にあるルイビル大学に留学していました。ケンタッキー州はアメリカ中東部にあり、最大都市ルイビルは人口約60万人、近隣の都市も含めた都市圏としては約130万人の人口を支えています。競馬場と広大な公園、そしてバーボンが有名な自然豊かな地方都市でした。
私の留学先の研究室では、細菌学や細胞生物学を中心として、歯周病に関する基礎から臨床応用にむけた多角的な研究が行われていました。特に、歯周病において最も重要な病原菌とされているPorphyromonas
gingivalis (Pg菌)が、宿主の細胞内に侵入して免疫系を回避することにより病態を進行・遷延化させている可能性を明らかにしています。また、Pg菌が上皮細胞に接着・侵入するのに必須の分子メカニズムを次々に明らかにするなど、精力的な研究活動が展開されています。
私はそこで、Pg菌の感染によってヒトの歯肉上皮細胞において「上皮間葉転換」と呼ばれる現象が誘導されることに着目して研究を行っていました。この研究を通じてPg菌がもつ歯周病における病原性の新たな側面を明らかにすることにつながればと思っています。
これまで海外旅行もろくにしたことがない状態で渡米したので不安ばかりでしたが、街なかでも親切な人が多くいろいろと助けてもらいました。研究面では、日本では経験できないような多額資金を投じた実験や、効率的な研究の進め方を身につけることができたように思います。
また、大自然の中でゆっくりと流れる時間を優雅に過ごす環境に身を置くことができたことは、なかなか日本ではできない貴重な体験だったように思います。
異国の地でまがりなりにも2年間を過ごしたこの経験を生かして、国際的な視野を持った歯科医師になれるよう、これからも精進していきたいと思います。
スタッフ
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