フッ素の安全性と有効性について
フッ化物を応用したむし歯予防の有効性と安全性は、国内外のさまざまな研究によって実証されており、フッ素はわたしたちの口腔衛生の向上に重要な役割を果たしています。現在では、フッ素が効果を発揮するメカニズムは世界中の研究によって明らかになっており、むし歯の前段階である歯の表面の脱灰状態に対して、フッ化物イオンが再石灰化を促進させることが判明しています。
わが国におけるフッ素利用の歴史は、世界保健機構(WHO)からの勧告により、歯科医院で行うフッ素歯面塗布法や学校・施設で行う公衆衛生的応用法、そして家庭で行うフッ素洗口などをむし歯予防のために取り入れたことにはじまります。中でも、とりわけ1970年代から実施されてきたフッ素洗口は、年代を問わず虫歯の予防と再発の防止に大きく貢献しています。特に、学校に通う学童期の児童にはむし歯予防に顕著な効果がみられるため、各自治体の歯科保険施策の重要な一環として、全国に普及してきました。
こうした流れの中、平成12年度からは厚生労働科学研究の一環として、フッ素の効果的な応用法と安全性の確保についての研究「歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究」がスタートし、国と自治体をあげてフッ素を利用したむし歯予防に取り組んでいます。さらに、「21世紀における国民健康つくり運動」(健康日本21)では、歯科保険事業として「8020運動」が取り上げられ、「80歳で20本の歯を残そう」という目標達成のための具体的な方策として、フッ素の利用が不可欠であるとされています。そこで、従来から行われてきたフッ素歯面塗布法に加え、より効果的なフッ素洗口法が「8020運動」に欠かせないと認識され、現在のように普及しはじめたのです。
フッ素洗口法は、歯科医師の指導下において適切な方法で行う限り、身体の弱い方や障害を持つ方、あるいはアレルギー体質の方でも年代を問わず安全に利用することができ、たとえば腎臓病の方にもお勧めできるむし歯予防法です。
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