認知症の過半数を占めるのがアルツハイマー病です。これは脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質が蓄積することにより、神経細胞が徐々に死滅していく病気です。重症の歯周病とアルツハイマー病とは相互に関係しており、代表的な歯周病菌であるプロフィロモナス・ジンジバーリス菌(Pg菌)がアルツハイマー病患者の脳内で検出されています。
九州大学大学院歯学研究院の武洲准教授と中西博教授らの研究によると、Pg菌が産生するリポ多糖という毒素が全身を巡り、その刺激でカテプシンBという酵素が産生され、この酵素がアミロイドβの蓄積を促し、アルツハイマー病を悪化させることを明らかにしました。
国立長寿医療研究センターと名古屋市立大学の研究によると、アルツハイマー病を発症したマウスに歯周病菌を感染させて歯周病を発症させたところ、記憶をつかさどる海馬でアミロイドβの量が約1.4倍に増えたと報告されています。
Wu, Zhou, et al. "Cathepsin B plays a critical role in inducing Alzheimer’s Disease-like phenotypes following chronic systemic exposure to lipopolysaccharide from Porphyromonas gingivalis in mice." Brain, Behavior, and Immunity (2017).
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