関節リウマチの患者は歯周病の罹患率が高いとされています。歯周病と関節リウマチの両方に罹患している患者に対して歯周治療を行うと、関節リウマチの症状が改善することが報告されています。逆に、関節リウマチの治療により歯周病が改善することも確認されています。両者の関連性については、自己抗体と腸内細菌叢の関係から説明することができます。
関節リウマチの特徴は自身の関節組織を異物として認識することにより、免疫細胞や関節組織の細胞から産生されたサイトカイン(TNF-α、IL -1、IL -6、IL -17など)や免疫細胞によって誘導された破骨細胞が骨を破壊することです。その際、免疫細胞(形質細胞)は関節組織に対する自己抗体を産生します。自己抗体にはリウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体などがありますが、後者の抗環状シトルリン化ペプチド抗体は必須アミノ酸であるアルギニンがカルシウムイオン依存性酵素(PAD)によってシトリルリン(アミノ酸)に変換されたタンパク質です。このタンパク質に対して抗CCP抗体が関節破壊に関与します。
歯周病原菌の代表格であるポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g)はPADを産生するため、歯周病が抗CCP抗体の増加や関節破壊に関連している可能性があります。
Terao, Chikashi, et al. "Significant association of periodontal disease with anti-citrullinated peptide antibody in a Japanese healthy population–The Nagahama study." Journal of autoimmunity 59 (2015): 85-90.
P.g菌を実験的関節炎のマウスに投与すると腸内細菌の変動が生じ、IL-17の上昇と関節炎の重症化が認められました。この結果は歯周病が腸内細菌叢を乱し、関節リウマチを悪化させる可能性があることを示唆しています。
Sato, Keisuke, et al. "Aggravation of collagen-induced arthritis by orally administered Porphyromonas gingivalis through modulation of the gut microbiota and gut immune system." Scientific reports 7.1 (2017): 1-13.
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