腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎といった尿路感染症は細菌感染が原因で生じます。歯科にかかっている人はかかっていない人に比べ、尿路感染症で入院するリスクが低いことを明らかにした研究があります。東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長らが実施した研究です。
この研究は北海道在住の75歳以上の高齢者43万人余りを対象に、2016年9月から2017年2月までの6か月間にわたって実施されました。この間に歯科を受診したことがある人は尿路感染症で入院する割合が2.2%、歯科を受診しなかった人が尿路感染症で入院する割合が2.5%と、歯科を受診した人よりも入院する確率が高くなっていました。この違いは統計学的に計算して偶然生じたものではないことが確認されました。
この研究の対象となった高齢者で歯科にかかったことのある人の多くは、歯周病のメインテナンスを受けていたことが推測されています。歯周病菌が尿路感染症に関与すること、歯周病が全身各所の炎症に関与して尿路感染症にも影響することが推測されます。
Mitsutake, S., Ishizaki, T., Edahiro, A., Kitamura, A., Hirata, T., &
Saito, A. (2023). The effects of dental visits on the occurrence of acute
hospitalization for systemic diseases among patients aged 75 years or older:
A propensity score-matched study. Archives of Gerontology and Geriatrics,
107, 104876.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167494322002631
MENU
|