食べる力の根源的な重要性
年を取ってくると体のあちこちに不調が現れがちです。同年代の知人の訃報を聞くことも増えてきます。そのような現実を目の当たりにすると、元気で長生きできることを切実に望む気持ちが湧き出てきます。
元気で長生き、すなわち健康長寿の秘訣は何でしょうか。生きがい、良好な人間関係、経済的な蓄えなどでしょうか。確かにこれらは大切です。寿命に影響する体の要因を調べてみると、歯が残っている本数が長生きと密に関連していることがわかってきました。歯が多く残っていればいるほど、長生きできるということなのです。
大阪府後期高齢者歯科健診の集計結果からわかった事実
大阪大学高齢者歯科学分野教授の池邊一典先生らの研究結果を紹介します。大阪府で開業している歯科医師は大阪府後期高齢者歯科検診に協力し、来院された高齢者のお口の中を健診しています。その結果を元に追跡していくと、歯が残っている本数とその後の死亡率がきれいに逆相関していることがわかりました。つまり、歯が多く残っていればいるほど、長生きできるということなのです。
歯の本数と介護認定率(要介護2以上)も逆相関していることもわかりました。つまり、歯が多く残っていればいるほど、健康な状態を保ちやすいということなのです。長生きしても寝たきりや認知症などの状態が長く続くのでは溜まりません。単に長生きするのではなく、健康で長生きしたいのです。歯の本数が多く保たれていることは、健康長寿のパスポートとなるのです。
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