筋肉のトレーニングを中心に
年を重ねるごとに筋肉がやせ細り筋力が低下してくることは周知の事実ですが、一念発起して筋肉を鍛えることにより、いつでも回復させることができます。口腔機能低下症の治療の多くは歯科医院で治すものではなく、自分で毎日取り組む必要があります。具体的には以下のようなトレーニングが必要で、筋肉以外にも必要な項目があります。
- 舌筋を鍛える
- 噛む力、嚙みこなす力を鍛える
- 飲み込む力を鍛える
- 舌、口唇の動きを素早く滑らかにする
- お口の潤いを保つ
- お口の中を清潔に保つ
ガムトレーニング
青森市で歯科医院を開業されている土岐志麻先生が開発された方法です。この方法だけで咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋)、舌筋、口輪筋が鍛えられ、正しい舌の位置や正しい嚥下方法を身に付けることができます。
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嚥下体操
食事前に口の内外や首の筋肉をリラックスさせ、唾液腺をマッサージして刺激することで唾液の出をよくします。この体操を1日3回、食前に行うことにより食べ物を飲み込みやすく(嚥下)します。嚥下体操には幾つかありますが、西南女学院大学保健福祉学部で開発されたものをご紹介します。
- ゆっくりと深呼吸します。もう一度深呼吸します。
- 首を前に倒します。順番に後ろ、左、右へ倒します。
- 首をゆっくりと回します。もう一度逆回りに回します。
- 肩を上げたあと、すっと力を抜いて下ろします。もう一度繰り返します。
- 両手を組んで頭上に挙げ、ゆっくりと上半身を左へ傾け、次に右へ傾け、元に戻します。
- 両側の頬を膨らませ、へこませます。次に左の頬だけを膨らませ、右の頬だけを膨らませます。
- 「あ」「い」「ぱ」「た」「か」と各1回発声します。
- 舌を上に出します。順庵に下、左、右へ出します。
- 唇の周囲をマッサージします。耳の下(耳下腺)、顎の下(顎下腺)、首の横を順にマッサージします。
- ごくんとつばを飲み込みます。
穴井めぐみ, 松岡緑, 西田真寿美. "摂食・嚥下機能からみた高齢者における嚥下体操の有効性." 老年看護学 6.1 (2001): 67-74.
コロコロガム法
ガムを1粒噛み、小さく丸めて舌の上にのせておくだけという簡単な方法です。
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唾液腺マッサージ
耳の下には耳下腺があり、この部分をマッサージすることで唾液の分泌を促進して口の中が潤います。また口腔内には各所に小唾液腺があり、これらを順番にマッサージすることも効果的です。
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ペコパンダ
舌圧(舌を口蓋に押し付ける力)を鍛えるためのトレーニング器具です。ペコパンダはトレーニング部、位置決め部、持ち手部の3つの部分があり、トレーニング部の膨らみを舌で押しつぶすことで舌圧が鍛えられます。トレーニング部の硬度は軟らかいものから硬いものまで、6段階の製品が用意されています。軟らかいものから始め、舌圧が増すにつれて硬いものに変えていきます。
舌前方保持嚥下訓練
「水分を飲み込むときにむせる」「食べ物がのどにつかえている感じがする」「唾液を誤嚥してしまう」といった嚥下障害の症状を改善するためのトレーニングです。舌を前に突き出し、舌の先端を軽く噛んで動かないようにしてから唾液を飲み込みます(空嚥下)。この動きを6~8回繰り返します。できれば1日3回行いましょう。このトレーニングによりのどの筋肉が鍛えられ、飲み込む力を取り戻すことが期待できます。
歯の治療
歯の数が減るにつれて咬合力が低下します。歯は残っていても虫歯や歯周病によって噛むことが難しくなれば、やはり咬合力は低下します。虫歯や歯周病の治療は口腔機能低下症を改善する第一歩となります。
お口の中の手入れ
上手に歯を磨いて歯に付着したプラーク(歯垢)を取り除くことで、お口の中を清潔に保つことができます。義歯(入れ歯)にも汚れが付着しやすいため、義歯用のブラシや義歯洗浄剤で清潔に保つことが重要です。食後は水を口に含んでブクブクとしっかりうがいをすることにより、歯や粘膜に付着した食べかすを取り除くことができます。
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