口腔機能を向上させる方法にはさまざまな方法があります。「よく噛んで食べる」ことを意識するだけでも口腔機能が向上します。舌を順番に動かす方法や「あ・い・う・べ」などと特定の言葉を順番に繰り返し発音する方法もあります。ボタン、霧吹き、吹き戻しなど、身近な道具を使う方法もあります。ペコパンダ、りっぷるくんといった専用のトレーニング器具もあります。これらの方法は舌筋、口輪筋などの口腔周囲筋を個々に鍛える働きがありますが、一つの方法でそれぞれの筋肉の多様な動き一括して総合的に鍛えることはできません。
ガムトレーニングの特徴
当クリニックで紹介している方法はガムを使って誰でも簡単に実施でき、口腔周囲筋を総合的に鍛えることができる優れた方法です。ガムトレーニングは青森市で歯科医院を開業されている土岐志麻先生が開発された方法です。この方法1つで、咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋)、舌筋、口輪筋が鍛えられ、正しい舌の位置や正しい嚥下方法を身に付けることができます。人には誰でも利き手、利き足があるように、右で噛むのが得意な人と、左で噛むのが得意な人がいます。得意な方の筋肉はよく鍛えられているのですが、得意でない方の筋力は弱いままです。ガムトレーニングでは左右の筋力が均等になるように、噛むのが得意でない方を重点的に鍛えられるようになっています。
ガムトレーニングが必要な人
ガムトレーニングが必要となるのは口腔機能発達不全症の小児(と発達不全のまま成人してしまった大人)と口腔機能低下症の高齢者です。この二つの病気の患者さんには、舌筋の筋力不足による低位舌、歯列不正、嚥下の異常などが共通してよく見られます。また、口輪筋の筋力不足による口呼吸、歯列不正がよく見られます。側頭筋や咬筋の筋力不足により、咀嚼機能が不十分で、しっかりと噛めないということも少なくありません。
ガムトレーニングの方法
- ガムを噛み始めます。最初に噛み始めた方が「噛むのが得意な側」です。なるべく反対側で噛むようにしましょう。
- ガムがこなれて丸くなったら、左右のこめかみに両手を当て、ガムを嚙むたびに筋肉(側頭筋)が盛り上がってくることを確認しましょう。ガムを右側で10回噛み、左右の側頭筋が均等に動いていることを確認しましょう。次に左側で10回噛みます。
- 左右の頬部に両手を当て、ガムを嚙むたびに筋肉(咬筋)が盛り上がってくることを確認しましょう。ガムを右側で10回噛み、左右の咬筋が均等に動いていることを確認しましょう。次に左側で10回噛みます。
- 2と3の動きを3~5回繰り返します。
- 口を摘むんだ状態で、ガムを前歯で10回噛みます。
- ガムを上の前歯の表側に付け、上唇でぎゅっと押し付けます。ガムを歯から離し、同じ動きを5回繰り返します。
- ガムを上の前歯の裏側付近の粘膜(スポット)に舌で押し付けます。ガムをスポットから離し、同じ動きを5回繰り返します。
- スポットに付けたガムを舌で押しながら、唾液を飲み込みます。ガムをスポットから離し、同じ動きを5回繰り返します。
★方法は下記の動画をクリックしてください↓★
MENU
|