結果
1.性別および年齢
性別は男性56名、女性122名と女性が多数を占めた。年齢の分布は11歳から70歳まであり、年齢を10歳毎に分けると10歳台9名、20歳台37名、30歳台63名、40歳台44名、50歳台16名、60歳台8名、70歳台1名であった。
2.口臭の認識
周囲の人間から口臭を指摘されたことがあるもの(いわゆる他臭症)が178名中149名であった。また、口臭を自覚するもの(自己臭症)が178名中122名であった。自己臭症の中には、臭気そのものはわからないが、口腔内感覚の異常や他人の仕草に悩むものもみられた(表2)。これらを口臭の証拠ではないかと心配していた。
3.病悩端緒
口臭に悩むきっかけは周囲から口臭を指摘されたことによるものが178名中132名と多数を占めた。一方、自分で口臭を感じるようになったことを端緒とするものが51名であった。上記二つ以外を端緒とするものはみられなかった。
4.病悩期間
病脳期間の分布は1年未満13名、1年以上5年未満48名、5年以上10年未満28名、10年以上20年未満40名、20年以上49名であった。10年以上の病悩を有するものが178名中89名と半数を占め、口臭に悩まされている期間が長期にわたる患者が多かった。
5.発症年齢
口臭の悩みが最初に生じた時期は10歳未満7名、10歳台61名、20歳台38名、30歳台50名、40歳台14名、50歳以上6名であり、比較的若い年代が大半を占めた。
6.口臭強度
官能試験による治療前の口臭強度は、口腔内ガス、呼気ガスともに同程度の値を示した(図3)。口腔内ガスは治療前後の検査1回目と検査3回目とを比較すると1.9から0.7へと減少し、呼気ガスも2.0から1.0へと減少した。治療により、口腔内ガスの方が呼気ガスよりもよく改善した。機器測定による治療前の口腔内ガス、呼気ガス、鼻腔内ガスも50前後と同程度の値を示した(図4)。口腔内ガス、呼気ガスはそれぞれ46.6、50.6から38.8、46.1へと減少した。鼻腔内ガスは48.9から45.0と減少傾向にあったが、有意差は認めなかった。治療により、口腔内ガスの方が呼気ガスや鼻腔内ガスよりもよく改善した。
7.嫌気性菌のバナ加水分解活性(バナテスト)
治療前において、舌背部は歯肉溝内、口蓋扁桃部と比較して高いバナ加水分解活性を認めた。舌背部では1.0から0.8へと減少した(表3)。歯肉溝内と口蓋扁桃部ではそれぞれ0.5、0.4から0.4、0.3へと減少傾向を示したが、有意差は認めなかった。
8.唾液検査
安静時分泌量は1.1mlから1.6mlへと増加した(表4)。沈殿率は2.0から1.1、官能試験は0.9から0.4、黄濁度は0.8から0.5へとそれぞれ減少した。刺激時分泌量、安静時pH、刺激時pH、緩衝能力、白濁度については明瞭な変化は認めなかった。治療前、治療後のいずれにおいても、安静時pHは刺激時pHよりも低かった。
9.歯周組織検査
治療前の歯肉溝の深さは2.9±0.7㎜であった。
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図3 口臭官能試験
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図4 口臭機器測定(BBチェッカー)
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