米国精神医学会の診断分類(DSM-V)が2013年に改訂され、自己臭恐怖症が「jikoshu-kyofu」と日本語の病名のままで登録されています。「jikoshu-kyofu」は「強迫性障害」という大きな分類の中の「他で特定される強迫症および関連症」に分類されています。
強迫性障害は従来のDSM-Ⅳ-TRでは「不安障害」という大分類に含まれていましたが、DSM-Vでは独立した大分類の一つとして存在しています。強迫症といえば繰り返し手を洗う、鍵を閉めたかどうか何度もチェックするなどの症状が代表的ですが、心理的な強迫症状もあります。たとえば仏様を冒涜するような考えが繰り返し思い浮かび、それが気になって仕方がないといった縁起強迫などです。
自分の臭いをチェックしないと気が済まない、延々と歯を磨く、舌苔がなくなるまで舌を磨き続ける、他人の仕草が気になって仕方がないなどの自己臭恐怖症は、不安を超越してもはや強迫とも考えられます。
自己臭恐怖症は「客観的には全く臭いがない」精神疾患ですが、生理的口臭症でも同様の脅迫的要素が見られます。しかし、生理的口臭症は簡易精神療法や認知行動療法によって容易に強迫的症状が改善する、という点で自己臭恐怖症とは異なります。口臭不安などの不安が容易に改善する点においてもまた、生理的口臭症と社交不安障害との違いが見られます。
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