歯周病は歯の表面にプラーク(デンタル・バイオフィルム)が付着することにより発生します。このプラークの中でさまざまな細菌が増殖して相互に作用すると歯周病が発症し、進行していきます。
初期に付着する細菌であるストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)はオルニチンを産生します。後から付着する細菌のフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)はオルニチンを脱炭酸してプトレシンへと変えます。このプトレシンは、最強の歯周病菌ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)がプラーク中に定着することを助けるとともに、ポルフィロモナス・ジンジバリスのプラークからの離脱を促進し、歯周病の進行を加速させます。
プトレシン(putrescine)は腐肉臭と表現される臭いを放ち、口臭の原因物質の1つとなっています。英語で腐敗をputrescenceというため、そこからプトレシンの名が付いたと推察されます。
口臭と関連するもう一つの物質もまた、歯周病と関連しています。フソバクテリウム・ヌクレアタムは歯周病菌の一種であるベイロネラ・パルブラ(Veillonella parvula)からリジンを受け取り、脱炭酸してカダベリンへと変えます。フソバクテリウム・ヌクレアタムからカダベリンを受け取ったポルフィロモナス・ジンジバリスは強固なプラークを形成します。
カダベリン(cadaverine)は死体臭と表現される臭いを持ち、口臭の原因物質の1つとなっています。死体を意味する英語、cadaverからカダベリンの名が付いたと推察されます。
Sakanaka, Akito, et al. "Fusobacterium nucleatum metabolically integrates commensals and pathogens in oral biofilms." Msystems 7.4 (2022): e00170-22.
https://journals.asm.org/doi/pdf/10.1128/msystems.00170-22