虫歯発生のメカニズム
3.口腔環境
では最後に、虫歯発生の第3の要因である口腔環境についてお話します。乳幼児期の母子感染によって、ほとんどの人の口の中には虫歯菌が棲み付いています。そこへ砂糖入りの飲食物を口にするのですから、すべての歯が必然的に虫歯になるはずですが、実際のところは違います。これら一連の虫歯発生メカニズムを、唾液が妨害しているからです。
唾液には緩衝能という優れた能力があり、飲食によって酸性やアルカリ性に傾いた口の中を常に中性に保っています。食後の口腔内は酸性ですが、唾液の緩衝作用によって酸が中和されて約20分で中性に戻るのです。このようにして、唾液はその緩衝能力によって虫歯の発生を妨げています。また、唾液に含まれるカルシウムが虫歯菌で溶かされた歯を補うことにより、歯に穴が開くのを防ぎます。さらに、唾液中に含まれるフッ素が虫歯の発生を予防しています。
>> 唾液の緩衝作用についての詳細はこちらをクリック
そして、口腔環境でもうひとつのカギとなるのが、歯自体の性質です。歯の表面はエナメル質という硬く緻密な構造を持つ一方、歯の根は柔らかい構造から成るため、歯肉がやせて歯根部が露出すると虫歯ができやすくなります。従って、歯のカルシウム分が少なく歯が柔らかすぎるエナメル質形成不全や象牙質形成不全の歯では、カルシウムが溶け出すと簡単に虫歯になってしまうのです。
MENU
|