日本口臭学会第4回学術大会において学会発表しました
2013年7月13(土)、14(日)に横浜市の鶴見大学会館で「日本口臭学会第4回学術大会」が開催されました。韓国からも3名の先生が発表されるなか、13日午後に院長が発表しました。
コーヒー飲用が口臭に与える影響
○樋口均也1)、本田俊一2)、辻 孝雄3)
1)医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック、2)医療法人ほんだ歯科
3)藤田保健衛生大学医学部微生物学講座
【目的】
口臭の原因となる飲食物にはニンニクやタマネギ、アルコール類が知られている。口臭患者の中には「コーヒーを飲んだ後が特に気になる」という者が少なからずいる。コーヒーは酸性度が高く、また自律神経への作用があるため、口腔内のpHや唾液分泌量を変化させることが推測される。このために口臭が強くなると患者が感じるのかもしれない。一方で、コーヒーが口腔細菌の増殖を抑制し、代表的な口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物の産生をも抑制するというin
vitroでの報告もある。今回我々はコーヒー飲用前後の口臭の変化を経時的に測定し、その影響を調べたので報告する。
【方法ならびに材料】
20歳から35歳までの男女各5名、計10名の健康成人を調査対象とした。5名ずつに分けてコーヒーと対照の水を各1回飲用する実験をクロスオーバー法にて行った。予め口腔衛生指導及び歯石除去を実施し、歯周組織に問題がない状態で実験を開始した。コーヒー飲用前、飲用15分後、1時間後、2時間後に官能検査及び機器測定(BBチェッカー、オーラルクロマ)にて口臭の強さを測定した。
【結果】
口腔内ガスおよび呼気ガスの官能検査では、コーヒー摂取15後、1時間後、2時間後のいずれの時間帯においても、対照群と比較して官能強度が高く最小感知距離が長い傾向を示した。コーヒー摂取120分後には、呼気ガスの官能強度が対照群と比べて有意に高かった。BBチェッカーを用いた機器測定では、コーヒー摂取120分後の呼気ガスが対照群より有意に高く、口腔内ガスでも同様の傾向を示した。オーラルクロマを用いた機器測定では、摂取飲料や揮発性硫黄化合物の違いによる特定の傾向が見られなかった。
【考察ならびに結論】
水摂取と比してコーヒー摂取により、官能検査及び機器測定にて口臭が強くなることが明らかとなった。官能検査では、測定者がコーヒーの残り香に影響されることによるバイアスが生じた可能性がある。また、BBチェッカーでコーヒーのにおいをどの程度、測定可能であるのかも不明である。これらの課題があるが、口臭患者が懸念する通り、コーヒー摂取は口臭を悪化させることが明らかになった。その理由として、コーヒーが口腔乾燥を引き起こす可能性や、口腔内のpHを低下させる可能性が考えられる。現在、これらの影響について調査を進めているところである。
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