第3回 口鼻臭臨床研究会で研究発表しました
2008年7月26日、27日の2日間にわたり札幌市で開催された第3回 口鼻臭臨床研究会で発表しました。梅雨がない北海道はこの時期清清しい晴天で、会場の北海道大学の構内は花が咲き乱れていました。
生理的口臭に対する治療時の嫌気性菌の変動
ひぐち歯科クリニック 樋口 均也
【目的】
自臭症患者にみられる生理的口臭は口腔生理機能の低下から舌苔中の嫌気性菌の活動が亢進することに生じると考えられる。口臭治療により嫌気性菌がどのような変動を示すのかはあまり明確にされていない。本研究では、生理的口臭に対する治療の前後での嫌気性菌の変動を測定する手段としてBANA分解活性を指標に用い、定量的な検討を加えた。
【方法】
2005年9月より2008年5月までの間に口臭を主訴としてひぐち歯科クリニックに来院した患者のうち、病的口臭を除いた125名の生理的口臭患者を調査対象とした。治療法は口腔生理機能の改善、口臭に対する不安への対処、二酸化塩素製剤の使用である。初診時と3週間後、6週間後の計3回口臭に関連する諸試験を行った。すなわち、口臭測定として官能検査とBBチェッカー(タイヨー)、唾液検査としてCAT21とチェックバフ(いずれもモリタ)、嫌気性菌検査としてバナペリオ(住友製薬)である。
【効果および考察】
生理的口臭に対する一連の治療により口腔内ガスは官能試験、BBチェッカーのいずれにおいても有意に低下し口臭の改善がみられた。唾液検査についても安静時唾液分泌量、刺激時唾液分泌量、白濁、黄濁、沈殿の改善がみられた。舌苔および歯肉溝内の嫌気性菌についても有意に低下した。以上の結果から、嫌気性菌と唾液の状況の改善により生理的口臭が改善されることが推測できた。加えて、BANA分解活性を利用したBANAテストは口臭治療の効果を計る指標として有用であることが明らかとなった。
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