第15回 日本口臭学会において研究発表を行いました
2024年7月13日・14日の2日間、第15回 日本口臭学会が大阪で開催されたなか、14日午前に口頭発表を行いました。
母親が抱く口臭恐怖が8歳女児に伝播した1症例
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- 樋口均也1),梅﨑さおり1)
- 1) 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック,
口臭外来を受診する患者の多くは成人であり、小児患者が占める割合は小さい。とは言え、中には口臭恐怖を訴える小児患者が保護者同伴で受診したり、保護者(多くは母親)が子の発する口臭を心配して子を連れてきたりすることがある。後者の場合、保護者自身が口臭恐怖を抱いていて、子の口臭を感知することでその恐怖が増大して受診に至った例が散見される。しかし、このような場合に保護者自身の口臭は主訴とならず、あくまで子の口臭が受診理由となっている。今回、母親と子の双方が自身の口臭を主訴として一緒に来院した症例を経験したので、その概要を報告する。
本症例では娘が口臭を自覚したことがきっかけとなり、以前から持続していた母親の口臭恐怖が増悪したとのことであった。母親の恐怖心や娘に対する自責感、娘の口臭についての心配が相まって、娘に対して口臭の有無を尋ねるという強化が生じ、娘も口臭を気にするようになったと推測された。そのため、娘を楽にさせるためには、母親からの質問を中止することと母親の口臭を治療することが必要であった。両者を実施したことで、母子ともに口臭の悩みが軽減した。本症例を通じて、小児の口臭に関しては保護者の口臭恐怖を聞き出す必要性を痛感させられた。保護者の口臭を治療することで、小児の口臭が改善される症例があることに留意する必要がある。
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