第4回 口鼻臭臨床研究会において研究発表を行いました
2009年7月11日・12日の2日間、第4回 口鼻臭臨床研究会が福岡市で開催されたなか、11日午後に口頭発表を行いました。福岡の街は博多山笠の時期を迎えて市内各地に山車が展示され、まさに熱気に満ち溢れていました。
口臭治療による各種検査項目の変動および官能検査との関連性について
- ○樋口均也1)、本田俊一2)3)、辻孝雄3)
- 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック1)、
- 医療法人 ほんだ歯科2)3)、藤田保健衛生大学医学部3)
【緒言】
口臭に関する検査には官能検査、ガス測定、酵素測定、細菌検査、歯周組織検査、舌苔の検査、唾液検査、口腔粘膜の湿潤度測定、問診、心理テスト、舌診など様々な項目があり、口臭治療における治療効果を示す指標となるが、中でも口臭患者にとって最も重要な指標は官能検査である。それは口臭患者が自らの口臭を客観的に評価する術に乏しいにもかかわらず、他者がどのように感じているかを常に意識し、自己の口臭の程度や性状への客観的評価を求めるためである。演者は第3回口鼻臭研究会にて自臭症患者に対する口臭治療の方法およびその結果を発表し、口臭治療により官能検査値の有意な改善が見られたことを報告した。そこで今回は官能検査に着目し、他検査項目との関連を調べたので報告する。
【材料および方法】
2005年10月より2009年3月までの期間中、口臭を主訴としてひぐち歯科クリニックに来院した233名のうち、3回の口臭関連検査を実施した105名を調査対象とした。治療法は口腔生理機能の改善、口臭に対する不安への対処、および二酸化塩素製剤の使用である。初診時と3週間後、6週間後の計3回、口臭に関連する諸試験を行った。すなわち、口臭測定として官能検査と機器測定:BBチェッカー(タイヨウ)、唾液検査:CAT21とチェックバフ(いずれもモリタ)、嫌気性菌検査:バナペリオ(住友製薬)を実施した。
【結果】
生理的口臭に対する一連の治療により、口腔内ガスは官能試験と機器測定:BBチェッカーのいずれにおいても有意に低下し、口臭の改善が見られた。次に、唾液検査についても安静時唾液分泌量、刺激時唾液分泌量、白濁、黄濁、沈殿の改善が見られた。一方、舌苔の肉眼所見に変化は認めなかったが、舌苔中の嫌気性菌については有意に低下した。初回検査時の官能検査値は口腔内ガスが0:11例、1:22例、2:63例、3:9例、呼気ガスが0:7例、1:22例、2:64例、3:12例と類似した分布を示した。また、治療による官能検査の変化では、口腔内ガスが改善82例、持続17例、悪化6例であり、呼気ガスは改善64例、持続28例、悪化13例と口腔内ガスの方が改善しやすいとの結果を得た。さらに、官能検査と他の検査項目との関連についても検討を加えた。
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