第8回 日本口臭学会において研究発表を行いました
2017年6月10日・11日の2日間、第8回 日本口臭学会が岡山で開催されたなか、10日午後に口頭発表を行いました。
口臭症治療の前後における抑うつや不安の変動について
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樋口均也1),梅﨑さおり1),本田俊一2),前田伸子3)
、
- 1) 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック,2) 医療法人ほんだ歯科,
3) 鶴見大学歯学部口腔微生物学講座
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【目的】
口臭外来を受診する口臭症患者の多くは何らかの心理的な悩みを抱えている。本学会において我々は口臭患者の抱える心理的な悩みを抑うつと不安の観点から分析し、口臭治療により抑うつや不安が軽減したことを既に報告した。今回は抑うつや不安がどの程度の割合でみられるのかについて検討した。さらに、抑うつと不安が合併する割合についても検討したので報告する。
【対象と方法】
2010年9月から2016年1月の間に口臭を主訴としてひぐち歯科クリニックに来院し、心理テストを実施した143名(男性50名、女性93名、平均年齢41歳、12~69歳)を対象とした。患者にSDSを記入させ、抑うつの程度を測定した。39点以下を正常、40点以上を抑うつありとした。また、STAIを記入させ、不安の程度を測定した。STAIは状態不安(STAI1)と特性不安(STAI2)があり、両者を記入させた。STAI1、は男性41点、女性42点以上を状態不安ありとし、それ未満を正常とした。STAI2、は男性44点、女性46点以上を状態不安ありとし、それ未満を正常とした。
【結果】
SDSでは86名(60%)に抑うつがみられた。STAI1では98名(69%)に状態不安がみられ、STAI2では82名(57%)に状態不安がみられた。ピアソンの単相関係数を算出すると、STAI1とSTAI2の間には0.89と高い相関がみられた。SDSとSTAI1、SDSとSTAI2の間ではそれぞれ0.76、0.80であり、STAI1、2の間よりも相関度は低くなっていた。SDS、STAI1、STAI2のいずれもが高く、抑うつと不安の両者を認めたのは70例(49%)と半数近くを占めた。SDSが高く、STAI1、STAI2のいずれかもしくは両者が正常であったのは21例(15%)、SDSが低く、STAI1、STAI2のいずれかもしくは両者が高かったのは21例(15%)、SDS、STAI1、STAI2のいずれもが正常であったのは31例(22%)であった。
【結論】
口臭症患者の過半数に抑うつや不安がみられた。また、両者が合併している症例が半数近くを占めることが明らかとなった。したがって、口臭治療に際して患者の抱える抑うつや不安といった心理的問題についても配慮し、対応していく必要があるといえる。
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