第5回 日本口臭学会において研究発表を行いました
2014年7月5日・6日の2日間、第5回 日本口臭学会が大阪で開催されたなか、6日午後に口頭発表を行いました。
ほんだ式口臭治療で実施する検査項目について
- 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック1)、
- 医療法人 ほんだ歯科2)
- ○樋口均也1)、本田俊一2)
【目的】
口臭症には生理的口臭症と病的口臭症があり、後者は器質的口臭症と心理的口臭症に細分される。ほんだ式口臭治療ではそれぞれの口臭症に対する診察・検査法や治療法が確立されている。中でも治療困難とされてきた生理的口臭症への対応法が体系的に用意されているのが特徴である。その診察・検査では、従来の口臭検査に加えて、唾液や口腔粘膜の所見、口腔内感覚、会話相手の仕草、鼻腔・咽頭所見などを重視する。今回の研究では口臭症患者にみられるこれらの検査項目ごとの特徴を健康成人と対比して検討したので報告する。
【調査対象】
2005年10月より2014年3月までの期間中、口臭を主訴として医療法人慶生会ひぐち歯科クリニックに来院した437名のうち、3回の口臭治療プログラムを実施した261名を調査対象とした。健康成人40名を対照群とした。口臭症患者群及び対象群について、今回集計した検査項目は口腔内ガス、呼気ガスそれぞれの官能検査および機器検査、嫌気性菌の酵素活性検査(バナテスト、アテイン)、唾液検査である。
【結果】
口腔内ガス、呼気ガスのいずれにおいても口臭症患者は対照と比して官能検査で高値を示した。一方、機器検査では口臭症患者と対象との間に違いは見られなかった。バナテストでは舌背部、歯肉溝内、口蓋扁桃の各部位において口臭症患者は対象と比して高い値を示した。唾液検査において刺激時分泌量、安静時pH、緩衝能力は口臭患者群で低い値を示し、安静時分泌量、刺激時pHも同様の傾向を示した。唾液の官能検査、黄濁度は口臭症患者の方が高い傾向を示した。
【考察/結論】
口臭を主訴として口臭外来を訪れる患者では、病的口臭症が少なく、生理的口臭症が多くを占めるとの報告がある。本研究でも同様の傾向が見られた。生理的口臭症では会話距離で検者が口臭を感知することが少なく、機器検査でもはっきりとした臭気を捉えにくい。今回の結果でも機器検査では対照群との間に差が見られなかったが、最接近して行う官能検査では口臭強度の上昇を確認することができた。併せて行った口臭関連検査により、嫌気性菌の酵素活性の上昇、唾液分泌量、pH、緩衝能の低下、黄濁度の上昇が見られた。従って、生理的口臭の発生とこれらの検査項目の変動との関連性があることが示唆された。
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