第7回 日本口臭学会において研究発表を行いました
2016年6月18日・19日の2日間、第7回 日本口臭学会が愛知で開催されたなか、18日午後に口頭発表を行いました。
口臭症治療の前後における抑うつや不安の変動について
- 樋口均也1),梅﨑さおり1),本田俊一2),前田伸子3)
1) 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック,2) 医療法人ほんだ歯科,
3) 鶴見大学歯学部口腔微生物学講座
【目的】
口臭外来を受診する口臭症患者の多くは、受診するまでに人知れず口臭の悩みを持ち、口臭を心配する一定の時期を経験している。このような悩みを抱える口臭症患者の心理特性についての研究が散見されるが、口臭治療前後の心理状態の変化を系統的に観察した報告はほとんど見当たらない。本研究では口臭症患者に対して質問票を用いて抑うつや不安の程度を調査した。さらに、口臭治療により抑うつや不安がどのような変化を示すのかを統計学的に検討した。
【対象と方法】
口臭を主訴としてひぐち歯科クリニックを受診した口臭症患者のうち、治療前後に心理テストを実施した96名(男性27名、女性69名、平均年齢41歳、12~69歳)を調査対象とした。認知行動療法を含むほんだ式口臭治療を3~4週おきに計3回行い、その都度官能検査を実施して、口臭強度及び最小感知距離を測定した。また、自覚的な口臭強度であるVAS-Aと抑うつおよび不安に関する心理テストを行った。抑うつについてはSDS(自己記入式うつ尺度)を、不安についてはSTAI(状態―特性不安)を用いて測定した。
【結果】
口臭症患者のSDS、STAI-1、STAI-2は治療前に平均でそれぞれ41.8、46.5、47.2と比較的高い値を示した。3回の口臭治療により、官能検査による口臭強度と最小感知距離は有意に低下した。また、VAS-Aも治療後に有意な低下がみられた。さらに、SDS、STAI-1、STAI-2は治療後の平均がそれぞれ39.6、42.3、43.3といずれも有意な低下を示した。
【結論】
口臭症患者は治療前に軽度の抑うつおよび不安を抱えていた。3回の口臭治療により、口臭は客観的にも主観的にも有意な改善を示し、それとともに抑うつおよび不安の程度も有意に低下した。
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