日本口臭学会第2回学術大会において研究発表を行いました
2011年7月9日・10日の2日間、第2回 日本口臭学会が街中の喧騒を離れた東山・岡崎の地で開催され、11日午後に口頭発表を行いました。本格的な夏を迎えた京都の街中では、7月17日の山鉾巡航以外にも祇園祭のさまざまな行事が執り行われていました。
Lab色空間を用いた舌の色調
- ○樋口均也1)、本田俊一2)3)
- 医療法人慶生会 ひぐち歯科クリニック1)
- 医療法人 ほんだ歯科2)3)
【緒言】
口臭の悩みを抱えている者は多く、誰もが自己の口臭の程度を知りたいと思うが、その程度を自身で知ることは困難である。そのためにますます自己の口臭が心配となり、その不安のため人との会話が難しくなる傾向が見られる。口腔内のネバネバ感や会話相手が手で口を覆う仕草等を自己の口臭の証拠と考える者が多いが、舌苔の付着も同様に自己の口臭と関連付けて捉えられることが多い。
患者はしばしば「異常に舌が白い」「舌苔が付着している」と訴えるが、実際には舌苔の付着量が少ないことが多い。舌苔付着量や舌の色を客観的に捕らえて説明することは口臭治療に有益であるが、確立された方法はない。
我々は舌の色調についてLab色空間を用いて解析する方法を開発した。併せて舌の色調と口臭との関連についても検討した。
【材料および方法】
2009年2月から2011年4月までの間に口臭を主訴としてひぐち歯科クリニックに来院した105名中で、口臭治療を実施し症状や検査所見の記載が揃っている87名を調査対象とした。口臭測定として官能検査と機器測定:BBチェッカー(タイヨウ)、唾液検査:CAT21とチェックバフ(いずれもモリタ)、嫌気性菌検査:バナペリオ(住友製薬)心理テストを実施した。
【結果】
舌背中央部が最も白く、この部分の舌苔付着量が多いと考えられた。舌の赤みは舌尖部で強く、黄色みは部位による変化が少なかった。
舌背の中央部が白い症例は他の部位も白い傾向にあり、舌背の中央部が白くない症例は他の部位も白くない傾向にあった。
刺激時唾液分泌量や昼食後のvisual analogue scale(VAS)値、舌背部のBANAテスト値、BBチェッカーによる口腔内臭気値、唾液白濁度が舌の白さと弱い正の相関を示した。一方、状態不安尺度(STAI-1)と初発年齢は弱い負の相関を示した。
重回帰分析では、刺激時唾液分泌量、口蓋扁桃部と舌背部のBANAテスト値の順で舌の白さに対して関連性があることがうかがえた。自他覚的な口臭の強さが舌の白さに寄与する程度は低かった。
口臭治療により自他覚的な口臭の程度は軽減したが、舌背中央部の白さには変化が認められなかった。
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